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文筆家もしくは、がちまやバカライター。座右の銘「愛と誠と肝心(ちむぐくる)」を小脇に抱え、人生街道をフルスロットルで驀進中。
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2009年05月22日

テニアンへの思い

わがボス、会長の体調が思わしくありません。

今回の慰霊祭は、帰還者会として最後の慰霊祭になるし、
これまでの人生、ずっと南洋群島帰還者会に尽くしてきた人だもん。
自分のライフワークの集大成として、絶対に行きたいはず。

でも、ご家族が心配する気持ちもわかるし…。
たった一人のお父さんであり、おじいちゃんなんだもん。

クルマいすでも何でもいいじゃない。
慰霊祭には出られなくてもいい。ホテルで待っててもいい。
サイパンに行かせたい。何とかしてテニアンの地を踏ませてやりたい。

いや、本人が行かないというなら、いいんですよ。
だけど、本人は行きたいって言うんだから。
たとえむこうで斃れたって、それは本望ですよ。

座ってさえいれば行けるのは、チャーター便だから。
来年になれば、もっと彼にとっては厳しくなる。
それで、もしものことがあったら、強い思いが残ると思うんだな。


電話のむこうで、
親族の一人でもあるAさんが話す声を聞いて、
朝からとても切なくなりました。

シマで斃れても、本望だろう。
それは、私だってそう思うけど、
他人が無責任に口にできることじゃない。
家族には、それ相応の覚悟が必要だ。
親族のAさんだから言えることだ。

今回の慰霊墓参団は、2機のチャーター機をとばします。
認知症の人もいる。幼い頃のおぼろげな記憶を頼りに行く人もいる。
親や祖父母が暮らした土地を見ようと、初めて行く2世・3世もいる。

もちろん、まだまだ健在の人たちも大勢いるけれど、
もうこれで最後だ、という人たちの気持ちを乗せて、
近いようで、遠くなってしまったふるさとへ飛ぶのです。



人に与えられる時間は限られている。
だからこそ、魂が震えるような感動に出会えるのはシアワセ。
全力で向かって行ける何かが見えているなら、
やはりそれは向かって行かざるを得ない。
でなければ、何のための人生か。

私もやがて死ぬだろう。
「ああ、楽しかった。あんたたちには迷惑をかけたが、私としては、ここで斃れるのは本望だ」
と、娘たちに言い遺して死にたい。
その日まで、What a wonderful worldを口ずさみつつ、走るのだ。


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Posted by いのうえちず。 at 11:25 │沖縄からテニアンへ
この記事へのコメント
逆に、体調が思わしくないなら、行かせてあげたいと強く思う。
それこそ、車椅子で。
テニアンは、そういうところ、すごく優しいよ。
ただ、向こうで本当に悪くなったら、救えるところがないから、覚悟の上で。

生きる希望を取ってまで生き永らえさせる意味ってなんだろう?
もちろん、ご家族のお気持ちも痛いほどわかるけど・・・。
後悔だけは、してほしくないです。
Posted by ちえこ at 2009年05月23日 10:52
うわ。ちょうどちえこちゃんにメール書いてたところだ。

その覚悟をさ、他人が家族に
「覚悟しなさい」って言うのはおかしな話で。
家族にしたって、そりゃ行かせてあげたい気持ちはあるんだけど、
そこはなんとも言えないねぇ。。。

自分の親だったら、覚悟して行こうって言える。
でも妹だったら、姪が反対するのを押し切って、
とは言えないかもしれない。強く勧めるかもしれないけど。

でも、ま、むこうで倒れるって決まったわけでもないのに、
周囲がヤキモキするのは変な話か。
よほど強いドクターストップが出ないかぎり、
多分、行くことになるとは思うよ~。
Posted by ちず。 at 2009年05月23日 10:59
難しい話だなぁ~。
他人としては、本人の意思を尊重してあげて欲しいとは思うけど、当事者である家族の心境は複雑だよね。

生きる希望か。。。。
こいつが無くなると人間先が短くなる。
色々な人を見てきたけど、本当の話。
「何のため」というのは非常に大切なんだよね。
Posted by 親方 at 2009年05月23日 13:06
多分ね、正解はないんだと思うわ。

まだ出発まで少し時間があるし、
気も張ってるだろうから、大丈夫って気もする。
Posted by ちず。 at 2009年05月23日 13:49