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文筆家もしくは、がちまやバカライター。座右の銘「愛と誠と肝心(ちむぐくる)」を小脇に抱え、人生街道をフルスロットルで驀進中。
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2006年08月01日

ひーじゃーワイルドストーリー

時々、取材先で何かをご馳走になることがあります。

この日は、やんばるで、とあるハルサーの取材でした。
ソフトでジェントルでかっこいいハルサーなので、
あえてお名前は伏せます。イメージの問題があるので。

ハルサー氏のところへ、ご近所の方がお昼を持って
「一緒に食べよう」とお見えになった。
私もご相伴にあずかったというわけですわ。

ひーじゃーワイルドストーリー
お魚は、その場でさばいでお刺身にしたものです。

ひーじゃーワイルドストーリー

パパイヤのサラダ。
乾燥パパイヤとは思えないみずみずしさで、驚きました。
写真でうまく伝わるかしら。
ジップロックにいっぱい分けていただいたのですが、
パパヤイリチー命の私は、すっごくうれしくいただきました。

ひーじゃーワイルドストーリー


食事もおいしくいただいたのですが、やっぱりゆんたくが一番楽しい。

この日来ていたご近所のAさんは、
横浜や大阪にキセツに出たことがあるそうです。
大阪では、お休みの日は、やんばる出身の先輩たちとつるんで遊んでいたとか。
ある日、先輩が「ひーじゃーをつぶして食べよう」と言い始めた。
「知り合いが奈良に住んでいて、ひーじゃー飼ってるから、
一頭もらってこよう」ということになったんだそうです。

Aさん曰く、売ってるひーじゃーはおいしくない。
なぜなら、ひーじゃーの皮は火であぶって、毛をハゲ状態にしたほうが旨いから。
市販のひーじゃーは、食品衛生法上の関係だか何だかで、
お湯で処理するから、皮がおいしくないんだ、とのこと。

へーえ、そういうものなんですか。
じゃあ、奈良のひーじゃーは?




ひーじゃーを大阪まで運んでつぶし、
皮を火であぶったんだそうです。淀川の河原で。




さあ、皆さん。目を閉じて想像してください。

周囲には人家がいっぱいの、淀川の河原。
数名の屈強なやんばる男子たちが、山羊をつぶし、皮を火であぶる。
血。煙。炎。そして、たんぱく質が燃える、ちょっとイヤなニオイ。



何分か後、Aさんご一行は、パトカーに囲まれました。









































































おいっ!お前ら、何やってんねん!
周辺の住宅から、
「ヤクザが河原で死体を焼いとる」て通報があったぞ!








































































はぁ?ボクたち山羊をつぶしてましたけど?






はぁ?山羊ぃ!?




































































おまわりさんは、脱力の末、
とにかくそういうことは河原でやらないように
と厳重注意をして帰ったそうです。


なんでも、四足のものの屠殺・解体は、
決まった場所でやらなきゃいけないんだそうで。
河原でフリーにやっていいものじゃなかったのねん。



ひーじゃー、あひらーをつぶして食べるのは、
やんばるでは普通のことだのにから。


Aさんは肩をすくめて言いました。

ちなみに、取材先のハルサー氏は、
山羊やアヒルをつぶすのが上手なんだそうです。
まあワイルドといえばワイルドですけど、
「命を食べる・いただく」って、本来そういうことだと思います。

私の代わりに誰かが殺していることを忘れていませんか。

ヤマトからお客さんが来たら、
ひーじゃーをつぶしてもてなしてもいいけど、
「残酷」と言うヤツには食わせない。
必ず、つぶすのを手伝わせる。と、Aさんのお父さんは言いました。
そして、ハルサー氏の腕前を
「ヤマトンチュとは思えないよ」と、目を細めてほめていらっしゃいました。

なんだか、通過儀礼のようだと思いました。

ひーじゃーワイルドストーリー

おにぎりもおいしかったな♪

ひーじゃーワイルドストーリー

かぼちゃの煮つけも、ほっくほく。
とってもおいしくいただきました。


ちなみに、Aさんには、この後、
あひらーの釣り方」も教えてもらいました。
釣竿と釣り針と、パンで釣るんだそうですよ。


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Posted by いのうえちず。 at 16:28 │沖縄
この記事へのコメント
ははは、河原はダメでしょう(笑)
この辺の名城あたりでは海上保安庁が遠くから海岸で山羊をつぶしてないか監視してるそうです。
Posted by yukio at 2006年08月01日 20:47
ウチの学校だったら大丈夫♪

牛一頭丸焼きができるのもウチならでは♪

というかそうでなくて(^_^;)おいしかったのかな奈良のヤギ。
大学の同級生も「ヤギはくさくない」って沖縄の子だけいってたな。
Posted by nano at 2006年08月01日 22:11
ワタシの代わりに誰かが屠殺してくれているのは重々わかっていても、
きっとつぶす場にはいられないだろうな…
虫のいい話ですが。

宮古出身の友達から
『山羊をつぶす・その詳細』と
『犬を食う・その詳細』はさんざん聞いてしまい、
もうやだっいっそベジタリアンになりたい!

と思った5分後にてびち食ってる情けないオレ。。。。。。トホホ
Posted by 南島中毒 at 2006年08月01日 22:38
ヤマトでは、人とその他の動物の命の軽重ってはっきりあるのだけれど、インドを旅したとき、人と動物の命の軽重は存在していない地域があったことに驚いた記憶があります。

人は死ぬためだけに「聖地」といわれるその場所にきて、それでも死にきれなくて駅からあふれるほど野宿していて。
逆に牛は「神聖」な動物といわれているから、その横でまるまる肥えて、道路でも線路でも我が物顔で歩いていて。

ガンジス川では、洗濯や沐浴しているすぐ横で人の死体を犬がバリバリ食べていたり。
火葬場では次々に死体が運ばれてきて、その煙を牛が恍惚の表情で嗅いでいたり。
火葬も、魚の餌にするために、わざと完全には焼かずに、生焼けの状態で放り投げていたり。


それでも、「よりよく生きたい」という祈りも、同時にそこにはあって。


人はどんなに残酷にも優しくもなることができるのだと思いました。
また、どうしようもないほど、他の命のうえに生きていることも。

だからこそ、その中でどうするか?何を選ぶのか?他者にどう対するのか?

それが倫理、もしくは“人間の尊厳”の一つなのかな、と漠然と考えたことを、この記事を読んで思い出しました。
Posted by よーかい at 2006年08月01日 23:42
ちずさんは、面白いものや素敵なもの、いっぱい見たりして、羨ましいね。
Posted by みお at 2006年08月02日 16:09
へーえ、海保も忙しいことじゃのう。>yukioさん

多分、R大も大丈夫じゃないかしら。>nanoちん

犬は旨いからなー。そういう問題ではないか。(笑)
哺乳類は、なんだか話が通じそうな感じがして、
残酷とか思うのかしらね~。鳥とか魚は、あんまし話通じる感じしないじゃん?>南中さん

お。詩人ですのう。>よ

インドの混沌か。
生きてる以上は、他の命の上に立ち、
また、残酷なこともしているのが人間だと思いますよ。
そのガンジス川を「母なる川」「聖なる川」と言う、
清濁併せ呑む感覚は、
清浄を重んじてきた日本人のメンタリティとは
大きな隔たりがあるのだろうな。

みおちゃんこそ。
愛するダーリンのそばで暮らして、
(厄介オジイなどのサブキャラはさておき。ぷっ)
毎日一緒に過ごして、いろんなものをシェアして。
私は羨ましいよ。
Posted by ちず。 at 2006年08月02日 16:31
…厄介オジィ…。
厄介だよ…。
Posted by みお at 2006年08月03日 03:21
ぷっ。当事者ならば、厄介だわな。
わし、傍観者だし。
Posted by ちず。 at 2006年08月03日 20:35