90分番組を構成するには、素材が足りなかったのかな?
里国隆の話をしたいのか、戦後の奄美・沖縄の話をしたいのか、
よくわからない部分が長かった。
もちろん、背景に、戦後の奄美・沖縄の生活事情みたいなものがあってこそなので、
それを説明することは必要だと思うんですよ。
でも、知名定男が出てきてコザ暴動の話を延々とするのは…
しかも里国隆への落とし込みがないまま次の場面へと移るのは…。
えー、こりはドキュメンタリーなの?ゲイジツ作品なの?って感じ。
2)編集のテンポが、私の好みには合わない。
何しろ長いから。それに、CMが入らない分、
間延びしない90分を作るのは、構成力もさることながら、
ちょっとした編集の「間」(ま)みたいなものが決め手になると思うんです。
ディテールに、神が宿る。というではないですか。
3)再現フィルムが間抜け。
西何とかって人が、里国隆役で出てくるんです。
琴の演奏をしながら、歌を歌うシーンがあって…
これが、「里国隆」を期待して見る私には、辛かった。
モノマネの域に達してないなら、音は「里国隆」を使って、
効果的に再現シーンを挿入していけばいいじゃないの。
まったりダラダラ使われると、わじわじー。
4)インタビュアーの態度が鼻につく。
「え?」って何回も聞きなおすんですよ。
多分、構成上、インタビューの対象者が、自分の言葉で語ってくれなくてはならない場面で、
ハッキリと言いなおしてほしいという意図があってのことだとは思います。
でも、人と話をしてて、「え?」って何回も聞きなおすの、
なんかすごく失礼っちゅうか、ぞんざいな感じがした。
そして、私も失礼な印象を与える言動に注意しなくてはと思った。
相手が不愉快になるインタビューってサイアクではないかと。
だって私、それでも事実を追究しなくてはならないジャーナリストじゃないからさ。
(報道の人には、時には他人を不愉快にさせても聞かねばならぬことがあると思う。
何かの不正や犯罪を、ペンで暴こうとするなら、なおさら人を傷つける可能性への覚悟が必要)
というわけで、とても勉強になりました。
見る前から、期待しすぎていたの鴨。
納得はしたけど、感銘は…受けませんでした。
伝説の唄者!って称賛する必要はどこにもないんですよ。
ハッキリ言って貧しい感じの公営住宅や、ひなびた風情の名瀬など、
美しい風景ばかりで構成されていないところには、むしろ好感を持ちました。
ボロクソ言ったけど、再現シーンだって、
照り返しがキツくて暑い道路を歩いて行く盲目の行商人やら
優遇や歓迎をされているとは限らない路傍の芸人やら、
かなり具体的にイメージするのに役立ったと思う。
ディレクターが別の人なら、里国隆像が別の手法で浮き彫りになってたはず。
それはそれで、また見てみたいなー。
あと、今時の番組って何でもかんでもテロップ入れるから、
訛りの強い場面でテロップが入ってないのは「へーえ。入れないの?」って。
視聴者として、私はテロップ慣れしすぎてるんだろうね。
いずれにせよ、色々な意味でそんなに数字を取れる番組とは思えませんでした^^;
でも!こういう番組を作れるのは、ある意味NHKだけ!
NHKの使命として、これからもこの路線でいろんなものを取り上げてほしいです。